
さくらんぼの枝から生まれた、和紙糸のアイテムたち。
剪定枝から生まれる新しいものづくり
山形県は、農業をはじめ、古くから「ものづくり」が盛んな地域。全国で有数の収穫量を誇る「フルーツ王国」山形のなかでも、寒河江市はさくらんぼの生産量がトップクラスです。
先人たちは土壌改良や剪定技術を工夫して、おいしく美しいさくらんぼを生産してきました。しかし、その栽培には「剪定枝」という廃棄物が発生してしまいます。

その廃棄物を処理するには費用がかかり、焼却すれば温室効果ガスを排出してしまう。高齢化も進む中で負担も大きい課題でした。
そんな課題を新たな「ものづくり」に活かせないかと「さくらんぼ剪定枝のアップサイクルプロジェクト」がスタート。剪定枝を原材料にした環境配慮型の「さくらんぼ和紙糸」が開発されました。そして生まれたのが、さくらんぼ和紙糸を使ったアパレル製品です。
さくらんぼ和紙(和紙糸)とは
佐藤繊維が本社を構える寒河江市は、さくらんぼの名産地として知られる地域です。子どものころからさくらんぼは身近な存在で、収穫時期には親族、近所の人が総出で作業にあたります。
まだ雪深い2月の頃から剪定作業がはじまり、まっかな実をつける初夏のずっと前から、さくらんぼ農家の営みは長い季節を通して続きます。

その中で生まれる剪定枝。さくらんぼの木をはじめとする樹木は、枝木が生い茂ると湿気がたまりやすくなり、病害虫がつきやすくなります。風通しや日当たりを良くして樹木全体の健康を維持させるため、剪定作業はさくらんぼ農家にとって大事な作業。
しかし、それに伴い「剪定枝」という、やっかいな課題を生み出していました。

2025年は、さくらんぼ農業が始まって150周年

つぎの150年に向けて何をすべきか。フルーツ王国の地位を築いている山形ですが、懸念される課題が山積しています。こうした課題と向き合い、単に150周年を祝うだけでなく、持続可能な果樹農業の実現に向けた新たな一手を投じる年にしたいという想いが地域愛を育み、地域社会に向けた新たな可能性に結びつきました。

HAKUTAI 百代PROJECT
一般社団法人HAKUTAIが手がける「さくらんぼ剪定枝のアップサイクルプロジェクト」
これまで廃棄していた未利用資源に新たな価値を生み出すため、新たな「ものづくり」の目線から素材開発に取り組み、環境にも配慮した和紙が誕生。
その和紙を使用した撚糸の開発に成功し、和紙から糸へと生まれ変わったのが「さくらんぼ和紙糸」です。
さくらんぼの剪定枝から、糸ができるまで

さくらんぼの剪定枝は、細かいパウダーに加工された後、繊維が取り出され、和紙の原料の一部として使用されます。
これにより、優れた品質の和紙が生まれ、紙製品はもちろん、雑貨など様々な用途に活用できるようになりました。
さらに、撚糸技術の開発に成功したことにより、アパレル製品への応用も広がり、さらなる可能性を秘めています。
天然繊維「和紙糸」が持つ、快適でやさしい機能
和紙糸は、日本の伝統素材「和紙」を細く裁断し、撚(よ)りをかけて糸状にしたもの。その起源は平安時代とも言われており、当初は神事の装飾や装束、文様織りの一部など、特別な場面で使われてきました。
江戸時代には、丈夫さと通気性の良さが注目され、紙衣(かみこ)と呼ばれる和紙を使った衣類が庶民の間でも広まります。紙といっても、和紙は繊維が長く裂けにくいため、糸にしても意外なほど強度があり、軽くて快適な着心地が特徴です。

和紙糸はナチュラルで優しい風合いを持ちながら、高機能な素材です。
通気性が高くムレにくい
和紙は繊維の間に空気を含むため、汗ばむ季節でもサラッと快適。
抗菌・消臭効果
植物由来の成分が自然の抗菌・消臭性を発揮。清潔をキープします。
軽量でドライな着心地
軽くて乾きやすく、長時間の着用もストレスフリー。
自然由来のUVカット
和紙繊維自体が紫外線を吸収・拡散。夏でも安心です。

近年ではその性質を生かし、通気性・抗菌性・石油資源を使用しない環境負荷の少なさから、サステナブル素材として再び評価されています。
伝統と現代の技術が融合した和紙糸は、着る人にも、地球にもやさしい選択肢として注目を集めるようになりました。
これからも身近に、長く身に着けられるものとして。
寒河江市でものづくりをする佐藤繊維にとって身近な、さくらんぼの剪定枝から生まれた”さくらんぼ和紙糸”。毎日の暮らしに使いやすいアイテムに仕上げました。
和紙ならではの着心地を、毎日の暮らしに。
シームレスなニット構造。型崩れしにくく、自然な立体感。
撚りや組織を調整し、自然に立ち上がる仕様。
シャープで清潔感のあるシルエット。日本人体型にフィット。
M・L の2サイズ。ユニセックスで着用可能。
佐藤繊維の自社工場で一貫生産。

日本人の体型にあわせたサイズ感で、極端にタイトでもルーズでもない、程よい着用感を重視。

シンプルかつシャープなシルエットで、清潔感を保ちながら日常使いにもぴったりなバランスに仕上げました。
無地ベースで過度な装飾を避け、どんなスタイルにも合わせやすいデザインです。
首周りや肩、袖口に程よいゆとりを持たせ、動きやすさも考慮。素材の風合いが引き立ち、ナチュラルな存在感のあるアイテムに。
ニット特有の立体感で身体のラインを拾いすぎず、すっきりしたシルエットが引き立つ上質な一着です。